加工食品を販売する場合には、食品の内容に関する表示を食品の包装に記載する必要があります。
正しい方法で記載をするために知っておいた方が良いのが、食品表示基準に関する通知の内容です。機能性表示食品の表示もこの通知の基準に準拠していますが、ここでは、こうした食品表示の基準に関する通知の内容について、詳しく紹介します。
「機能性表示食品の表示について知っておきたい8ポイントルール」
食品表示基準に係る通知で決められている販売の意味
機能性表示食品は包装容器に必要な事項を記載する必要がありますが、表示する際に従う必要がある食品表示基準に関する通知は、2021年の1月に一部が改正されました。
この通知ではまず、この通知が適用される範囲について規定しています。通知では食品表示法に規定されている「販売」という言葉の意味についても詳しく説明していて、無償で譲り渡す場合であっても販売に該当するケースがあることが決められています。
無償であっても食品表示法の販売にあたるのは、不特定または多数の相手に食品を譲り渡す場合です。この場合でも、食品表示法に規定された方法により、正しい表示をする義務があります。こうしたことから食品表示基準に関する通知でも、無償で譲渡されるものを含めて、具体的な表示の方法を規定しています。
なお、この通知が適用される販売に該当するかどうかは、食品の所有権が移転するかどうかによって決まっています。所有権の移転してない食品の無償譲渡の場合には、通知の規制の対象外になることがあります。
通知で義務付けられている栄養成分の表示
食品表示基準に係る通知では、栄養成分に関する表示についても規定されています。通知では原則として機能性表示食品を含む全ての加工食品について、栄養成分の表示を義務付けています。一般用の添加物に対しても栄養成分の表示が義務付けられていますが、こうした栄養成分の表示が義務付けられたことにはいくつかの目的があります。
消費者に健康的で栄養のバランスがとれた食生活の大切さを認識させることも、機能性表示食品などに、栄養成分の表示が義務付けられている理由です。
栄養成分が表示されていることで、消費者が食品を選ぶ際に参考にできるため、適切な食生活を実現するためのきっかけとなる効果も期待されています。
栄養表示に対する国際的な考え方の変化も表示の義務化と関係しています。特に重要視されているのがコーデックス委員会によって規定された栄養表示に関するガイドラインで、新しく見直しがされたことから、日本国内でも栄養表示を義務化することが決められました。
機能性表示食品の材料の表示
食品表示基準に係る通知では、加工食品に使用されている、原料に関する情報の記載についても規定されています。加工処理した機能性表示食品においてもこうした通知の基準を厳守して、正しい表示をする必要があります。
通知では、できるかぎり材料の原産地に関する表示を、詳細に記載する方が望ましいという基本方針が規定されています。そのために原則として国内で製造された加工食品に対しては、その中でも使用している重要の割合が一番多い原材料の原産地の表示を、販売者に義務付けています。
原産地の国別に重量の順に表示をするのが、通知で定められている原則的な方法で、一番多くの重量が使用されている原材料に限らず、使用されている全ての原材料についてできるだけ原産地の表示をすることが望ましいとされています。
全ての原材料の原産地を表示することが不可能であっても、消費者が誤解しないように表示をおこなうことが、食品を販売する企業には求められています。原産地を詳細に記載することで、消費者が自分の考えで合理的に食品を選びやすくなるからです。
加工された機能性表示食品に記載すべき事項
機能性表示食品の中でも加工食品に該当するものは、名称についても、食品表示基準に係る通知で決められている事項に従う必要があります。食品につける名称はその内容を的確に表現しているものであることが求められていて、社会通念としてすでに一般化されている表現を使用する必要があります。
したがって機能性表示食品に名称をつける場合でも、社会通念として一般化されていないような新奇な単語を商品名に使うことはできない決まりです。どのような言葉が社会通念として一般化されているかは、個々のケースにより判断されています。
名前を付けた企業が一般化していると判断しても、行政機関が一般化していることを認めない場合には、名称の変更を求められることもあります。社会通念として一般化された言葉だけを商品の名称に使うことができるのは、消費者が食品を選ぶときに誤解しないようにするためであり、人によってとらえ方が違う言葉を使用した場合には、判断を誤らせる可能性があるからです。
機能性表示食品に原材料の名前を使用する場合
機能性表示食品の名称に、使用している原材料の名前を入れる場合にも、食品表示基準に係る通知の規定を守る必要があります。通知では加工食品に使用する原材料の名前を入れる場合、使用している主要な原材料と一致していることを求めています。
こうした規定があることから、原材料に使用されていても、ごく少量しか使用されていないものについては、機能性表示食品の名称に使用することが不可能です。
主要な材料が2つ以上混ぜられて使用されている場合についても通知では規定されていて、この場合にはいずれか一つだけの原材料の名前だけを、食品の名称に使えないことになっています。上記のようなケースでは、混ぜられて使用されている全ての主要な材料を、食品の名称に入れる必要があります。
例えばバナナとブドウを同じ重さだけ主材料として使用している機能性表示食品ならば、バナナとブドウのいずれか一つだけを食品の名称に使うことは認められず、バナナとブドウの両方を名称に入れる必要があります。また新しい種類の機能性表示食品で、そこに使用されている名称が業界でも浸透していないものであっても、社会通念上判断できるものであれば、商品名として認められることがあります。
機能性表示食品の表示を規定する食品表示基準に係る通知
機能性表示食品を販売する場合には、食品の内容を包装に記載する必要があります。食品表示基準に係る通知はこうした記載に関するルールを詳細に規定していますが、記載の内容を細かく制限しているのは、食品を購入する消費者が自分の意思で合理的に商品を購入できるようにするためです。
この記事を読み、こうした表示に関心を持たれた方は、小売店などで販売されている食品の表示を一度じっくりと確認してみてはいかがでしょうか。